現在、最新のハイエンドテレビで導入が始まっている最先端技術「量子ドット」。日本で販売されるテレビでも、複数のメーカーから製品が発売され、好みのテレビを選べるようになりました!
「量子ドットとは?」などの基本的なことや、「量子ドットの寿命・デメリット」とおすすめのメーカーのテレビなどを解説します!
量子ドットテレビとは一般に「量子ドットを搭載した液晶テレビ(QLED)」のことです。
ところが、2022年7月16日発売のQD-OLEDという新しい方式のテレビが加わりました。これは「量子ドットを搭載した有機ELテレビ」なのですが、混乱しないように後者については量子ドットテレビと言わずにQD-OLEDを呼ぶ方も多いです。
つまり、2つのタイプの量子ドットテレビがあります。それらのタイプで高画質なものは、REGZAの2024年モデルのZ970N(量子ドットを搭載した液晶テレビ(QLED))とソニーのA95K(QD-OLED)です。
型落ちの2023年モデルのレグザミニLED&量子ドットテレビZ970Mは、激安です!
QD-OLEDは、ソニーがブラビアのラインアップの中でフラッグシップモデルと位置づけています。そのため、当然、高画質です。正直なところ高価格ですが、発売時の価格から着実に値下がりしています!
現在の価格は以下のリンクから確認できます!予算的に許容できる範囲内なら購入候補として考えても良いです。画質は間違いなく業界トップレベルです!
後継機種の2024年モデルがA95Lです。
量子ドットテレビの寿命についても気になるところですが、おそらく製品として許容できるレベルになっているでしょう。
注目の量子ドット技術を理解して、満足できるテレビを手に入れましょう!
*テレビは有機ELと液晶のどっちがいいのかについてこちらの記事で紹介しています。
量子ドットテレビのおすすめのメーカーと寿命・デメリット(欠点)
量子ドットとは?メリットは?
量子ドット(QD)とは、ナノサイズの半導体微粒子のことで、いくつかの種類があり、複数の用途で用いられています。テレビやモニターなどのディスプレイ用途に限れば、特定の波長の光を吸収し、より長波長の光として放出する(発光する)機能を持っています。
ナノサイズの半導体微粒子の大きさ(粒径)を、高精度に揃えると(できるだけ同じ大きさにするということ)、波長変換後に放出する光のスペクトル幅を狭くすることができます。
これはディスプレイで表示できる色数を増やす(色域を広げる)効果があります。
液晶テレビや有機ELテレビなどの一般的なディスプレイでは、1つの画素がRGB(赤色・緑色・青色)のサブピクセルで構成され、これらの光の3原色の光量を調節することでいろいろな色を作り出します。
3原色を混ぜて白色を作れるように、基本的には混ぜていくと淡い色になっていきます。前述の波長スペクトル幅が狭い光の色(*ここではこれを濃い色と言うことにしますが)、これは例えば虹やプリズムで分光した太陽光の一部を取り出したようなもので、濃い色になります。(わかりにくいかな・・・)
複数の原色を混ぜても色が淡くなるだけで、濃くなることはありませんので、3原色に使う光が濃い方がいろいろな色を作り出せるということになります。
そのような仕組みで、量子ドットを使うとテレビで表示できる色数を大幅に増やすことができます。その結果、従来のテレビよりも色鮮やかな映像を楽しめるようになります!これが量子ドットテレビの最大の特徴です!
量子ドットテレビの寿命は?デメリットは?
前述のように量子ドットテレビに用いられている量子ドットは、ナノサイズの半導体微粒子です。これを練り込んだフィルム(量子ドットフィルム)を作製し、液晶テレビのバックライトの上部に配置して使用する構成が一般的です。
バックライトには青色LEDのみを組み込み、青色の光を量子ドットフィルムに照射し、内部の量子ドットによって一部を緑色と赤色の光に変換します。最終的には透過してきた青色光とバランスさせて白色光を作り出します。
この量子ドットが、水分や酸素に触れると劣化しやすいため、量子ドットフィルムの外側には水分や酸素などを侵入し難くするためのバリアフィルム(封止フィルム)を貼り付けています。
量子ドットテレビの開発の初期には、高性能なバリアフィルムを用いて寿命を伸ばす努力がなされていました。しかし、高性能なバリアフィルムは高コストであるため、量子ドットそのものの耐久性を改善し、バリアフィルムの性能を少し落としてコスト削減できるようになってきています。
つまり、通常のテレビとして許容できる程度の耐久性・寿命の製品となっていると考えられます(*推測であり、責任は持てません)。
これは量子ドットが使用している間に劣化しないということではありません。どんなテレビでも寿命はありますし、光源は発光しながら厳密には少しずつ劣化していきます。蛍光灯やLED照明でも寿命があるのと同じです。
したがって、新品の時と10年間使用した後では、明るさや色味に差が生じるのが普通です。テレビの場合、通常の使い方をしたならば、許容される程度の劣化スピードということです。
厳密に数値として寿命が何年なのかは、一般的にはメーカーも発表しません。量子ドットテレビは、まだ販売が始まったばかりの新しい製品ですので、実際に多くの人が使ってみてどのぐらいの寿命になるのかは、メーカーもデータを持っていないでしょう。
このように、量子ドットテレビの寿命をまだ十分に確認できていない点がデメリットと言えるでしょう。
しかし、前述のように製品として許容できるレベルにあるのであれば、デメリットは量子ドットを使用する分だけコストアップになり、価格が高くなることです。今後、量産が進めば徐々に価格は下がってくるでしょう。
量子ドットテレビのおすすめのメーカーは?
実は世界で初めて量子ドットテレビを発売したのはソニーで、2013年7月5日に発売したのですが、その機種だけで量子ドットの搭載を止めてしまいました。
その後、しばらくは量子ドット搭載テレビが発売されてなかったのですが、韓国サムスン(Samsung)や中国TCLなどが積極的に研究開発を進め、数年前から世界で量子ドット搭載テレビを発売し、販売しています。
サムスンは、日本ではテレビの販売をしてなく、TCLも日本で販売するテレビに量子ドット搭載モデルを当初は投入していませんでした。しかし、数年前からまずTCLが量子ドットテレビを日本で販売し始めました。
TCLは世界的には大きなシェアをもつメーカーですが、日本のテレビ市場に参入してからまだ日が浅いため、日本のシェアはまだ低い状況です。しかし、安さと世界有数の販売数に支えられた研究開発力により、徐々に日本でも知名度が上がり、売れ始めています。
特にコスパが高く、安い量子ドットテレビならば、TCLのテレビがおすすめです。
2021年12月にシャープが量子ドットテレビを発売しました。追随してREGZA、ハイセンスも量子ドットテレビを発売しています。これらは一般的に言われる「量子ドットテレビ」で、液晶テレビに量子ドットを組み込んだものです。
そして、2022年モデルで、ソニーが新たな方式のQD-OLEDテレビを発売しました。これは有機EL(OLED)に量子ドットを組み合わせたものです。
ソニーの2022年モデルについてはこちらの記事で紹介しています。
量子ドットと有機ELの比較!どっちがいい?
最近、液晶テレビに量子ドットを搭載して画質を向上させ、有機ELテレビに対抗しようとする動きがありますので、「量子ドットと有機ELのどっちがいい?」という疑問を持つ方が増えました。
前述のようにソニーがQD-OLEDパネル搭載テレビを発売し、これを有機ELのテレビのラインアップの最高峰に位置付けましたので、少々混乱している方もいらっしゃるかもしれません。
つまり、QD-OLEDは有機ELなのに量子ドットを搭載しているため、「量子ドットと有機ELのどっちがいい?」という捉え方ができなくなったためです。
そのため現在の状況を整理し、「量子ドット搭載液晶テレビ(QLED)」と「有機EL(OLED)」と「量子ドット搭載有機EL(QD-OLED)」の特徴を簡単に比較してみます。
量子ドット搭載液晶テレビ(QLED)
もっとも多い量子ドットテレビがこの方式で、液晶テレビのバックライトに量子ドットシートを組み込んだ構造になっています。量子ドットにより、色域が拡大され、色鮮やかな映像表示が可能です。
基本が液晶テレビなので、最高輝度が高く、低消費電力などのメリットがあり、有機ELに比べると黒が完全な黒にならず、コントラストが劣るというデメリットがあります。
このデメリットを改善するために、ミニLEDバックライトを搭載した機種が発売されています。バックライトの分割数が増えるほどコントラストは改善するのですが、コストがアップして、価格が上がります。
今後、徐々に価格が下がっていくと期待されますが、量子ドットに加えてミニLEDバックライトが搭載されていれば、かなり優れた画質のテレビ(液晶テレビ史上最高レベル)と言えます。
有機ELテレビ(OLED TV)
有機ELテレビは、完全な黒が表示でき、液晶テレビに比べて圧倒的に優れたコントラストを誇ります。
そのため最近は、テレビのレビュアーからは絶賛されることが多かったです。価格もかなり下がってきましたので、そろそろ有機ELテレビを買おうという方も増えています。
画質の弱点は、液晶テレビに比べて最高輝度が劣ること、さらに量子ドット搭載液晶テレビと比べると色域も狭いことです。
有機ELパネルの開発も進められており、新しい有機ELパネルを搭載した機種はかなり最高輝度が高くなっています。
色域を拡大する開発も進められていますが、量子ドット搭載液晶テレビには劣ります。しかし、その差は小さく、「絵作り」やコントラストの高い映像などの効果もあり、あまり色域の違いを感じることはないかもしれません。
量子ドット搭載有機ELテレビ(QD-OLED TV)
ソニーが発売したQD-OLEDテレビは、前述の有機ELテレビの弱点をカバーするもので、量子ドットの活用により色域が拡大しています。量子ドット搭載液晶テレビよりも広い色域となっており、現時点で世界最高レベルのスペックです。
有機ELテレビよりも効率が改善され、高輝度化、低消費電力化が進みました。
基本が有機ELですので、有機ELの特徴である黒表示&高コントラストは継承しています。
ソニーに追随し、シャープからも2023年にQD-OLEDテレビが発売されました。さらに2024年モデルとして、最新のQD-OLEDパネルを搭載したGS1が発売されています!
第2世代の性能が大幅に向上したQD-OLEDパネルを搭載している点が、大きな強みです!
量子ドットテレビのおすすめは?
量子ドットのメリット・デメリットと寿命について前述しました。基本的には量子ドットを搭載する分はコストアップになり、価格が上がることがユーザーにとって最大のデメリットと考えて良いでしょう。
注意したいことは、「量子ドットだけでテレビの画質が決まるわけではない」ということ。さまざまな技術が駆使されて最高水準の画質が達成されています。したがって、もともと技術力に定評があり、優れた画質のテレビを作っていたメーカーはやはりレベルが高く、量子ドットを搭載してさらに画質を向上させています!
また最終的には「好み」というものも案外大きな要素です。家電量販店に行って、並べられている複数のテレビに同じ映像を表示させているのを比較すると、微妙に色が異なることがわかります。
人の肌の色などを見るとよくわかります。どのメーカーの「絵作り」が良いと感じるのかは、理屈ではなく「好み」の問題だからです。
いずれにしても量子ドットを搭載することで、従来よりも表示可能な色数が増え、鮮やかな映像を楽しめることは間違いありません!
ソニー(SONY)の量子ドットテレビ!A95L
ソニーからは、新しい方式「QD-OLED」のディスプレイパネルを搭載したA95Kシリーズが、2022年7月16日に発売されました!その後継機種が2024年に発売されたA95Lです。
これはOLEDに量子ドット(QD)を組み合わせた方式です。
これまで大型有機ELテレビ用に用いられてきたのは、LG Displayが開発・販売しているカラーフィルター方式のOLEDパネルです。これは赤色・緑色・青色の発光層を積層し、その上にカラーフィルターを配置することでRGBのサブピクセルを形成し、フルカラー化する方式です。
カラーフィルターを用いずに、積層しないでRGBのサブピクセルをそれぞれ作る方が、高効率で高画質になるのですが、製造上の難易度が高く、大型テレビは製品化できていません。
QD-OLEDはSamsung Displayが開発・販売しているもので、青色のOLEDパネルの上に、赤色と緑色に色変換する量子ドットを印刷し、それぞれをサブピクセルとする方式です。カラーフィルターを用いていないため、高効率化・広色域化が可能になる、ディスプレイ分野でもっとも注目されている新製品です。
したがって、ソニーのQD-OLEDを搭載したA95Lシリーズが現在販売されているテレビの中で最高峰であることは間違いないのですが、難点を挙げるとすると値段が高いということです。予算的に大丈夫という方にはオススメです!
REGZA(レグザ)の量子ドットテレビ
最近の日本のテレビ市場では、REGZAがトップシェアとなりました!それだけ日本にはREGZAファンが多いことがわかります。
REGZAは、これまで「超解像」などのさまざまな技術で画質を高め、「タイムシフトマシン」などの独自機能も搭載し、かなりテレビに詳しい人からも支持されてきました。
そして、世界的にテレビの販売台数が多いハイセンスグループに入り、コストダウンを進め、ライバルメーカーよりもコスパが優れるモデルを販売できるようになってきたことがトップシェアを獲得した要因の1つでしょう。
レグザの2024年モデルでは、量子ドットとMiniLEDバックライトが搭載された液晶テレビのフラッグシップモデルは65Z970Nです!
もっともおすすめする機種の1つです!
55インチでは、55Z870Nがハイエンドモデルになります!
型落ちの2023年モデルのレグザミニLED&量子ドットテレビZ970Mは、激安です!
ハイセンス(Hisense)の量子ドットテレビ
ハイセンスは中国のメーカーで、数年前にREGZAを開発・販売する東芝映像ソリューション社を買収しました。それ以降、REGZAの技術を活用し、見違えるように画質が向上しました!
それだけに「絵作り」がREGZAに似ていて、日本のユーザーにも支持されています。2024年モデルの上位機種で、量子ドットとMiniLEDバックライトを搭載したモデルU9Nが発売されています!安いです!
1つだけ難点を挙げるとすれば、このスペックの65インチのテレビとしてはかなり安いのですが、もっとも小さいサイズが65インチということです。
2024年モデルでは、1つ下のグレードの機種としてU8Nが発売されています。こちらも量子ドットとMiniLEDバックライトが搭載され、55インチもラインアップされているのでおすすめです!
ミニLEDではなく、通常のLEDを用いた直下型バックライトモデルとしてU7Nもラインアップされています!
50インチで10万円を切る価格ですので、もう量子ドット搭載がスタンダードと言ってよいのかもしれません。
量子ドットテレビ!シャープAQUOS QD-OLEDとXLED!
ハイエンドモデルとして、QD-OLEDパネルを搭載したAQUOS QD-OLED GS1ラインが発売されました!
特に高輝度領域での色域が広く、世界トップレベルの性能です!
明るい部屋で見た時に、わずかに黒浮きするという指摘が全モデルのFS1ラインに対してありましたので、その点がGS1ラインでは改良されています!
以下の動画で詳しく紹介されています!
シャープのアクオスユーザーも多いので、アクオスの「絵作り」が好きな方にはおすすめのテレビです!長年、日本国内のテレビ市場で大きなシェアを持っているメーカーですので、テレビそのものの性能には定評があります。
もう1つの注目されているテレビの最新技術であるMiniLEDバックライトも搭載し、トップレベルの高輝度、高コントラスト、高色域のテレビとなっています。
シャープは有機ELテレビも販売しているわけですが、この量子ドットテレビであるAQUOS XLEDがフラッグシップモデルとなっています。フラッグシップとは、シャープが販売するテレビのラインナップの中で最高スペックの機種と位置づけています!
SHARP AQUOS XLEDについてはこちらの記事で紹介しています。
量子ドットテレビはTCLが安い
前述のようにTCLは、積極的に量子ドットテレビ(QLED TV)の研究開発を進め、日本でも発売してきました。多額の研究開発投資を継続していますので、技術力の年々高まっています。
2024年のハイエンドモデルは、TCL C855です。
ミニLEDバックライトにより、ピーク輝度3,500nitsが達成されています!すごい明るいですね。
65インチで1300個以上のローカルディミングゾーンがあり、コントラストの高いきめ細やかな映像が楽しめます!
量子ドットにより広色域で、色鮮やかな映像が表示できますし、ゲームモードでは144Hzのリフレッシュレートで対応できます!
このスペックでこの価格は衝撃ですね。
しかし、シャープの量子ドットテレビなどと比較した時に、TCLの最大の強みは安くてコスパの高いモデルを発売できることです。
それだけにTCLのハイエンドモデルだけでなく、中級機であるC755シリーズがおすすめです。
まとめ
「量子ドット搭載液晶テレビ(QLED)」と「有機EL(OLED)」と「量子ドット搭載有機EL(QD-OLED)」の中ではどれが良いのか?
スペック的な比較はいろいろと書けるのですが、最終的には実際に実物の表示する映像を見て、好みのものを選ぶことが最善と言えます。「好み」が大きく影響しますので。
*テレビは有機ELと液晶のどっちがいいのかについてこちらの記事で紹介しています。
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