有機ELテレビの電気代は?液晶テレビと消費電力を比較!実測方法も紹介!

夜景有機ELと液晶

有機ELテレビの消費電力が液晶テレビよりも高く、電気代がかかるということを見聞きすることがあります。本当なのでしょうか?

確かにメーカーの公式ページでテレビのスペックを確認すると、消費電力は有機ELテレビの方が高いことが多いです。しかし、それだけで「電気代が高い」=「家計への負担が大きい」と判断してよいのでしょうか?

以下に紹介します。

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有機ELテレビと液晶テレビの消費電力比較!電気代は?

技術的に有機ELと液晶のどちらが消費電力が高いのかということを比較する場合は、スピーカーやインターネット機能など、ディスプレイそのもの以外の部品を外して、消費電力を測定すべきです。

しかし、そのようなデータが公表されていないことと、実際に購入して使用するのはテレビですので、同一メーカーのほぼ同じグレードの有機ELテレビと液晶テレビを比較してみたいと思います。

ソニー ブラビアの有機ELテレビと液晶テレビを比較

ソニーの最新の4K有機ELテレビXRJ-55A90Jと液晶テレビXRJ-55X90Jを見てみましょう。

いずれもソニーのハイエンドの55インチのテレビですので、有機ELと液晶というパネルの種類以外のスペックもおおよそ同程度であると言えるでしょう(*もちろん、厳密には異なる点も多少はあります)。

【4K有機ELテレビ XRJ-55A90J】
消費電力388W[待機時0.5W]
年間消費電力量175 kWh/年

【4K液晶テレビXRJ-55X90J】
消費電力208W[待機時0.5W]
年間消費電力量193kWh/年

上記のように同じ55インチの4Kテレビなのですが、有機ELテレビの方が液晶テレビの1.8倍以上消費電力が大きいです。

[消費電力量]=[消費電力]✕[時間]という関係がありますので、消費電力が圧倒的に高い有機ELテレビの方が、液晶テレビよりも年間消費電力量が低いという上記のデータを不思議に感じる方も少なくないでしょう。

これを理解するためには、テレビの消費電力と年間消費電力量の意味(定義)を確認する必要があります。

【テレビの消費電力】

テレビの場合、どのような映像を映すか、明るさをどのくらいに調整するか、音量やインターネット機能などの映像表示以外の機能をどのように設定して使用するかによって、消費電力が変化します。

これを各メーカーが独自に設定した条件で測定される消費電力としてしまうと、機種間の比較ができなくなり、ユーザーが混乱しますので、「省エネ法」などの法律に準拠した条件で測定した値が表示されています。

似たようなもので「定格消費電力」というものがありますが、これはすべての機能を最大限に使用した場合の数値です。エアコンなどではよく表示されますが、テレビの場合は音量を最大、明るさ最大などのすべてをMaxにする使い方は通常はしませんので、記載されていないことが多いです。

【年間消費電力量】

年間消費電力量とは、標準の設定で、1日4.5時間の動作時間、1日19.5時間の待機時間で算出した場合の年間の消費電力量のことです。

現時点では、有機ELテレビに相応しい測定条件が定められていないため、液晶テレビの条件で算出しています。そのため、ソニーの公式サイトの各商品のページには、以下のように記載されています。

2021年4月現在、有機ELテレビについては省エネ法に基づく年間消費電力量が定義されていないため、液晶テレビの基準で算出した参考値です

引用:4K有機ELテレビA90Jシリーズ 主な仕様

ここまで長々と説明してきましたが、正直なところ上記のソニーのサイトの説明を読んでもよくわからない点があります。なぜなら、液晶テレビは当然のことながら液晶テレビの基準で算出されているはずなので、消費電力が圧倒的に高い有機ELテレビの方が年間消費電力量が低くなる理由がわかりやすく説明されてはいないです。

可能性としては、有機ELテレビの消費電力が高めに見積もられているか、あるいは年間消費電力量が低めに見積もられているかのいずれかでしょう。特に年間消費電力量のところに注釈が付されていて、「参考値」と記載されている点が気になります。

ちなみにこれはソニーに限らず、パナソニック、東芝等の他社でも同様のことが記載されています。

ユーザーとしては、メーカーの公式発表を信じるしかありませんので、上記の参考値を基に「最新モデルにおいては、消費電力は圧倒的に有機ELテレビが高いけれども、年間消費電力については液晶テレビと同等レベル」と考えられるとの結論になります。

【電気代はどっちが高い?】

電気料金は、契約するサービスによって異なりますし、使い方によっても単価が変わります。また基本料金がある場合がほとんどで、単位使用電力量当たりの価格も算出し難いです。そのため、通常、このような比較で用いられる[27円/kWh]をここでも使用します。

そうすると前述のテレビでは以下のようになります。

【有機ELテレビ】
[年間消費電力量175 kWh/年]✕[27円/kWh]=4,725円

【液晶テレビ】
[年間消費電力量193 kWh/年]✕[27円/kWh]=5,211円

その差は5,211円ー4,725円=486円です。

「1日4.5時間」の動作時間としていますので、仮に毎日9時間テレビを観ていたとしてもこの2倍にしかなりません。年間で972円=81円/月の差にしかなりません。

あまり気にしなくても良いような程度の電気代の差でしょう。もし本気でこのレベルの電気代の差を気にするのであれば、購入するテレビのインチサイズをもっと小さなものにする、画面の明るさを控えめにする、またはテレビを観る時間を極力短くする方が有効です。

あまりに制約が厳しいと、何のためにテレビを買うのかもよくわからなくなってしまいますので、むしろエアコンやオイルヒーター、冷蔵庫の節電・省エネを考えた方が報われるかもしれません。

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有機ELテレビ・液晶テレビの消費電力を実測する

前述のようにテレビの消費電力と年間消費電力量を決めるには、法律等に基づいて所定の測定方法でメーカーが確認しなければなりません。

また現在はまだ有機ELテレビについての測定方法が定められて無く、液晶テレビの測定方法に準拠して評価されています。

なんだかスッキリしない点もありますので、実際に自分のテレビの消費電力と年間消費電力量を実測してみたくなりますね。車の燃費についても、メーカーが公表する燃費と実際に走行した時の燃費(実燃費)に差があることはよく知られています。最近の車は燃費が表示されるものが増えていますが、テレビには残念ながらそのような機能はありません。

しかし、以下のような市販のワットモニターを使えば簡単に測定できます!興味のある方は、実測するのが説得力がありますのでオススメです。

家の中でどの家電がどれだけの消費電力量であるのかを把握できれば、過度に心配することもなくなるでしょう。

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有機ELテレビは液晶テレビよりも低消費電力なのでは?

液晶は、バックライトからの光を、2枚の偏光板とカラーフィルターなどを通過させるために、光の利用効率が低いです。しかし、「有機ELは自発光型ディスプレイなので効率が高い」と聞いたことがある方もいらっしゃるでしょう。

確かに自発光型ディスプレイであれば、それぞれの画素が直接光を発しますので、効率が高いような気がします。なぜ実際の製品では有機ELテレビの方が消費電力が高いのでしょうか?

それは、現在の有機ELテレビは、もともと有機ELの技術者が目指していたような「有機ELの理想形」とは異なる方式であるためです。

有機ELテレビの消費電力が高い理由

まず有機ELでも前面に偏光板が配置されており、有機ELから放出された光の半分がその偏光板(円偏光版)により吸収されてしまいます。これは外部から入射した光が有機ELの基板で強く反射されてしまうため、それによる画質の低下を防ぐために偏光板が必要になるのです。

さらに大型テレビ用の有機ELパネルは、スマホ用の有機ELパネルと異なり、カラーフィルターが組み込まれています。スマホ用の有機ELパネルは、韓国サムスンが大きなシェアを持っており、RGB(赤・緑・青)の画素を蒸着によって塗り分ける方法で作られています。

当初は大型テレビ用有機ELパネルもRGB塗り分け方式での製造が試みられましたが、あまりの技術的な難しさに中止となりました。一方、韓国LGは、RGBを積層し、白色を作り出す方法で大型テレビ用有機ELパネルの製造に成功しました。この方式ではRGBの画素を作り出すためにカラーフィルターが組み込まれます。

RGBの3色の光を混ぜると白色が得られるというのが光の混色の原理です。このようにして作り出した白色からそれぞれの2色を吸収して取り除くと、残った1つの色が見えます。それがカラーフィルターの原理で、RGBのサブピクセルごとにそれぞれの色を通過させるようなフィルターが配置されます。

つまり光エネルギー的には、カラーフィルターで3分の2の光を吸収し、光利用効率は3分の1以下になってしまうわけです。RGB塗り分け方式ではこのカラーフィルターによる損失がありませんので、効率がカラーフィルター方式の3倍にできる可能性があります。しかし、大型有機ELテレビはカラーフィルター方式しか製品化されていません。


将来は有機ELテレビは液晶テレビよりも低消費電力にならないの?

現在の有機ELテレビは、韓国LGが生産した有機ELパネルをソニーなどのテレビメーカー各社に供給し、大型テレビ用有機ELパネル市場で独占的なシェアを維持しています。そのLGも必死の増産を続けていますが、増加する顧客からの引き合いに応えきれない状況が続いています。

現時点では蒸着によるRGB塗り分け方式で大型有機ELパネルの製造に成功したメーカーはいないようですので、当面はスマホと同じ効率の高い有機ELパネルを搭載した大型有機ELテレビが登場する可能性は低そうです。

1つだけ可能性があるのは、インクジェット方式によるRGB塗り分けで製造された大型テレビ用有機ELパネルです。基本技術はJOLEDが開発済みです。これを大型テレビ用パネルの製造に使いたいメーカーがあれば、技術をライセンスすることを計画しています。現時点でライセンスを受ける企業が現れたという話は聞いていませんが、この方式ならば高効率の有機ELパネルが実現可能です。

新しい方式で有機ELパネルを製造するためには、巨額の投資が必要で、さらに大量生産して売りきらなければなりません。現在の有機ELテレビの価格が下るほど新しい方式での参入が難しくなると予想されます。

まとめ

有機ELテレビと液晶テレビの消費電力の比較を行いました。さらに有機ELテレビの消費電力が高い理由について解説しました。

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